アルコール依存症とは…

依存症は病気です

 

「酒はやめられないのは意思のせいだ」「根性で酒はやめられる」等、アルコール問題をかかえる当人も周囲の人も、あるいは医療関係者ですら、アルコール依存症に対しては偏見があります。しかし、アルコール依存症は病気であり、意思の力だけではコントロールできない脳の病気です。アルコールを摂取する人であれば誰でも依存症になるうる可能性があります。

 

「飲酒のコントロール障害」と「アルコール離脱」

「飲酒のコントロール障害」とは、飲酒によって健康問題(肝臓の障害など)、社会的問題(仕事や経済的問題、家族の不和、人間関係のトラブル、飲酒運転など)が起きているにもかかわらず、飲酒を減らしたりやめることができなくなっている状態です。   「アルコール離脱」とは、お酒がきれるとイライラしたり眠れなくなったりすることから始まり、ひどくなると手の震えや寝汗などの症状があらわれ、さらに重症になるとけいれん発作や幻覚症状、意識障害があわわれるものです。
「飲酒のコントロール障害」と「アルコール離脱」がアルコール依存症の中心的な症状です。

慢性で進行性の病気

依存症にもさまざまな段階があり、最近ではいくつかの兆候があれば「アルコール使用障害」と診断して、依存症をひろく診断することもあります。「アルコール使用障害」を放置して飲酒を続けると、依存症は悪化して回復しにくくなり、やがて死にいたる可能性の高い病気です。アルコール依存症と診断された方々が断酒をしなければ、生存率は癌よりも悪いとのデータもあります。

アルコール依存症からの回復

依存症は「治癒」しないと考えられています。つまり、以前のように少しの量でアルコールを楽しむことは困難です。しかし、断酒を続ければ、飲酒のよって壊した健康を取り戻し充実した生活をおくれるようになれる、「回復」が可能です。

アルコール依存症からの回復のために

まずは、完全にお酒を断つことが必要です。節酒をこころみることは非常に困難です。断酒には離脱症状が伴うため、専門医療機関の受診をお勧めします。入院治療が必要になることもあります。
いったん、断酒が成功しても、再飲酒をすると最初のうちは節酒できても、いずれ元どおりの飲酒のもどってしまいます。専門医療機関に入院して疾病教育・リハビリプログラムをうけて退院した患者さんの退院後1年間の断酒継続率は2割から4割です。断酒継続は一人では困難で、通院を継続すること、自助グループ(断酒会やAA)に参加することが断酒率を向上させることが知られています。1年間断酒が成功すると、2年目以降の断酒継続率はかなり高くなります。

当院のアルコール依存症リハビリテーションプラグラム

当院では約2ヵ月間の入院による、アルコール依存症リハビリテーションプログラム(ARP)を行っています。原則として任意入院、開放病棟での入院プログラムで、「断酒を目標」とし、プログラムの内容に同意された患者さんが対象です。
プログラムの内容は、毎朝の断酒の誓い、週2回のアルコールミーティング(集団認知行動療法)、作業療法、地域および院内の断酒例会への出席などです。入院後4週間は単独での外出をひかえていただき、5週目以降は単独での外出や外泊を許可します。月1回、家族との合同の学習会も行っています。

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